進学のための費用
獣医師になるためには6年制の獣医学部・学科を卒業する必要があります。
国公立・私立の学費は以下の通り。活用できる奨学金についても事前にチェックしておきましょう。
学費
その他の費用
教科書・実習用品(年間)│約5~20万円
その他、通学費・実習交通費・家賃・生活費など
主な奨学金
経済的な事情で獣医学部・学科への進学を悩まれている人は、奨学金制度の活用を検討してみましょう。日本には獣医学生のための奨学金も存在しています。各制度の特徴を比較し、自分のライフプランに合ったものを選ぶことが大切です。
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産業動物獣医師 修学資金制度
獣医師養成確保修学資金給付事業による地域の産業動物獣医師への就業を志す学生への修学資金の給付を支援する制度。高校生等には、入学時に必要な費用を給付し、大学入学後は、修学資金を給付します。獣医師免許取得後、規程期間を就業予定先で従事すれば、返還は全額免除されます。
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地方自治体の奨学金・修学資金貸与制度
地域に貢献する獣医師を育成するために、各地方自治体が奨学金制度や修学資金貸与制度を設置していることもあります。大学卒業後に地方自治体に採用され、一定期間従事することで返還が免除となるケースも。詳細については各地方自治体の窓口や公式サイトで確認しましょう。
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大学独自の奨学金
各大学が独自に用意している奨学金制度です。給付型・無利子貸与型などがあり、経済的な事情だけでなく一定以上の成績が給付の基準となります。詳細については各大学の大学案内やWebで紹介されているものを確認しましょう。
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日本学生支援機構(JASSO)
獣医学部に限らず利用できる奨学金制度。「給付型」「貸与型」などの種類があり、学生の「学ぶ意欲」を評価して支援を実施します。日本学生支援機構HP内にある「進学資金シミュレーター」で自分の区分を確認できます。
奨学金を利用した先輩に聞く
産業動物獣医師になるための
お金の話
公務員獣医師を養成する
高知県の奨学金制度を利用
私は現在、高知県の西部家畜保健衛生所で公務員獣医師として働いています。業務は大きく分けて「家畜衛生」と「畜産振興」の2つです。私は去年まで、牛・豚・鶏などの家畜衛生や家畜防疫に関わる仕事をメインに担当していました。現在は、家畜の診療をメインに行っています。「家畜を健康に保つこと」、「食の安全を守ること」、「畜産業を支えること」。どれも地域の生活に直結する大切な仕事です。
検査用に乳牛の尻尾から採血をしている様子
獣医師を目指したのは、祖父が牛を飼っていたことがきっかけです。もともと食べることが好きで、食に関わる仕事にも興味がありました。さらに、父から「人の役に立つ仕事をしなさい」と言われて育ったことが、地元に貢献できる公務員獣医師という選択に大きく影響していると思います。
高校生のとき、農業関係の仕事をしていた叔父から「高知県獣医師養成確保修学資金」という制度があると聞き、公務員獣医師という進路を意識するようになりました。「地元に戻って働ける」、「食の安全に関わることができる」。そこで、自分のやりたい道がはっきりと見えた気がしました。
私は高校生対象の修学資金給付制度に応募し、面接や試験を経て、高校3年次の12月ごろに採用が決まりました。当時、進学先の選択肢は麻布大学と酪農学園大学の2つで、私は麻布大学を選びました。現在は制度が変わり、選択できる大学も増えているようです。
大学時代は「獣医衛生学研究室」で
乳房炎の研究に従事
麻布大学獣医学部では、河合一洋教授が担当する「獣医衛生学研究室」に所属し、牛の乳房炎の研究をしていました。大学に送られてくる乳牛の検体を用いて、培養や目視同定、PCR検査などを行う日々を送りました。特にバルク乳(農家のタンクに貯まる混合乳)の検査は複数菌が混ざっているため難しく、菌を見分けてカウントする技術を磨きました。振り返ると、ここで得た獣医学の基礎が今の業務に大きく役立っています。
修学資金制度の一環として、大学の夏休みには高知県の家畜保健衛生所や畜産試験場でインターンシップを経験しました。現場を知ることで、公務員獣医師として働くイメージをつかむことができました。
就職活動に関しては、奨学金を受けていたので、高知県の公務員獣医師を目指す道は決まっていました。大学6年次の高知県の公務員試験では、獣医専門職の筆記試験と面接を受け、無事合格することができました。
家畜伝染病発生予防のため
畜産農家の指導にあたる日々
現在携わっている「家畜衛生分野」の仕事は、高病原性鳥インフルエンザ、豚熱、口蹄疫等の家畜伝染病発生の予防に関することがメインです。これらを予防するため、農家さんに飼養衛生管理基準を守ってもらえるよう、日々努力しています。責任がありますが、食の安全・安心につながるため、大きなやりがいがある仕事だと思います。
検査用に子牛の首から採血をしている様子
牛・豚・鶏など動物が好きな方、食や畜産に興味がある方がいたら、公務員獣医師を目指してみませんか? 都道府県によっては高校生向け・大学生向けに奨学金の給付、インターンシップの実施をしています。ぜひ自分が対象になる制度があるか調べてみてください。獣医師になる夢を経済的な理由で絶対に諦めないでください!
高知県西部家畜保健衛生所
1998年、高知県生まれ
麻布大学獣医学部獣医学科
2023年3月卒業