先輩インタビュー
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病気を特定はもちろん、
根本的な解決策を探る
私は茨城県県北家畜保健衛生所の病性鑑定課に所属しており、公務員獣医師として細菌(バクテリア)の培養・検査を担当しています。具体的には、地域の畜産農家の方から下痢や突然死といった問題が発生した際に連絡を受け、検体を分析してどのような病原菌がいるのかを調査。その結果に基づいて必要な対応を考えることが主な業務です。
病性鑑定には主に、細菌を培養・検査して性質を調べる手法と、PCR検査によって遺伝子を検出する手法の2つがあり、私はその両方を実施しています。検体には大量の細菌が存在しているため、その中から病原性のあるものだけを採取することが難しい場合もあります。その際には、体の組織の病変を顕微鏡で調べている病理担当と連携し、病気の原因となっている細菌を特定します。これが病性鑑定の方針を決める手がかりになることもあるため、所内での情報交換や連携が非常に重要になります。
また、病気の症状が見られる、もしくはすでに死んでしまった家畜を所内で解剖することも病性鑑定課の仕事です。鳥はもちろんのこと、豚や牛といった大型動物を解剖することも多くあります。解剖で採取した検体から病気を特定したり、病原菌に有効な薬剤はどれかを調べたりしています。
さらに、病気の根本的な解決を目指す調査研究にも取り組んでいます。調査研究では、検体から新たに採取した病原菌について、それが従来から存在したものなのか、もしくは外部から持ち込まれたものなのかなど、より深く病気を分析していきます。
近隣の畜産農家で感染症の疑いのある子牛の採血を実施
大学では寄生虫の研究室に所属
幼少期から動物や生き物が好きで、小学生の頃には獣医師になりたいと思っていました。中学時代に獣医師の分野について調べていたところ、公務員として動物に関わる仕事があることを知って興味を持ちました。大学の獣医学部では、獣医学の基礎を学んだのち、寄生虫の研究室に所属。牛などの肝臓に寄生する「肝蛭」の研究に取り組みました。その後、県の採用試験と獣医師国家試験に合格し、家畜保健衛生所で働き始めました。
病性鑑定課の仕事で大事にしていることは、単に病原菌を見つけるだけでなく、どうすれば健康な状態に戻せるのかという解決策まで考えることです。全国の家畜保健衛生所や研究機関との情報交換を通じて得られる知見も多く、直接的に畜産農家を訪問する担当者に共有することで、現場での対策の幅を広げています。
獣医師の幅広い
選択肢を知ってほしい。
公務員獣医師の魅力は、「公共の利益」に貢献できる点です。例えば、鳥インフルエンザの流行を防ぐことで、農家の安定した収入と消費者への安定した食品供給を同時に支えることができます。また、民間の獣医師と違い、利益を考えずに地域の畜産農家を平等に支援できるところもやりがいにつながっています。
一般的な獣医師と比較すると、公務員獣医師の仕事内容はまだまだ知られていません。しかし、畜産動物の農場を見学するなどの経験を積めば、きっと興味の幅が広がると思います。私自身、大学時代の授業で大型動物と触れ合う機会が増えたことで、農林水産分野の公務員獣医師として働くイメージを持つことができました。獣医師を目指す皆さんにも、視野を狭めずにさまざまな選択肢があることを知ってもらいたいと思います。
茨城県県北家畜保健衛生所 技師
1998年、茨城県生まれ
岩手大学農学部共同獣医学科
2023年3月卒業
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先輩インタビュー
獣医学系学部・学科を卒業し、産業動物獣医師や農林水産系公務員獣医師として働く先輩たちは、どのような仕事をしているのでしょう? 具体的な業務内容や1日のスケジュールを取材しました!