先輩インタビュー
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千葉県農業共済組合で
県内畜産農家の往診を担当
千葉県香取市にある千葉県農業共済組合(NOSAI)北部家畜診療所に獣医師として勤務しています。主な仕事は、乳牛、肉牛の往診および繁殖検診です。
当日、診療依頼があった農場に車で出向き、診断、治療、予防に関する指導などを行います。対象となる牛は、500kgを超える巨体なので、往診が基本で手術なども現場で行います。診療所では検査や医薬品の補充を行います。
繁殖検診は、乳牛がミルクを出し続けるために不可欠な仕事です。乳牛は生後15〜18か月くらいで最初の人工授精を経験します。そして、妊娠・出産後、約300日間、毎日搾乳をします。搾乳をしないと乳房炎などになるリスクも高まってしまいます。
他の哺乳動物と同様に、乳牛がミルクを出すには、妊娠・出産を経験する必要があります。そのため、発情が来ているのか、妊娠しているのかなどを定期的に獣医師が確認します。妊娠を確認したら、エコー(超音波)診断装置などを使って、子牛が順調に育っているかを確認します。
繁殖検診では、ポリ手袋をして、乳牛の直腸に腕を入れ、子宮や卵巣を触診する直腸検査(通称:直検/ちょっけん)が欠かせません。これは産業動物診療獣医師の第一歩といえる業務です。
「直腸検査」は産業動物診療獣医師に欠かせない業務
出産に関しては、約8割は自然分娩なので、農家さんに任せますが、逆子や陣痛が弱いなどの難産の場合は、NOSAIに連絡が入り、獣医師が現場に急行することになります。お産の介助は、何度経験しても大きな感動があります。「生まれた! よかったね!!」と農家さんと一緒に喜びを共有できるのは、うれしいですね。
そのほか、疾病予防としてのワクチン接種、除角、去勢手術なども定期的に行います。
この仕事でやりがいを感じるのは、なんといっても農家さんに「助けてくれてありがとう」と感謝してもらえたときです。分娩介助の末にやっと生まれた子牛が元気にミルクを飲んでいる姿などを見ると、この仕事を選んでよかったと実感できます。
もちろん小動物診療と違い、産業動物診療は、シビアな一面もあります。乳牛をいかに効率よく妊娠分娩させるかは、農家さんの経営に直結します。ビジネスパートナーとして、農場全体の繁殖管理、衛生管理を一緒に考えるところにも奥深さと面白さがあると思います。
出産後、起立不能になった乳牛に点滴を投与する
獣医学部に進学してから
実習で産業動物診療を知る
私が獣医師を目指すようになったのは、小学生の頃に海でイルカと触れ合ったことがきっかけです。それからずっと動物が好きで、動物に関する本をよく読んでいました。そして、動物を助ける仕事を調べるなかで、獣医師という職業を知りました。
獣医師になるには、6年制の獣医学部獣医学科に進学する必要があります。難しいことは、わかっていたので、親の理解も得て、1浪して麻布大学獣医学部に進学しました。
1頭ごとにカルテを作成し、検診データを記入する
大学進学後、1年次の産業動物に関する実習で、牛の世話と診療補助を経験して、産業動物診療獣医師という職域を意識するようになりました。その後、2年次に学内で飼育していた牛の分娩立ち合いなどを経験して、本格的にこの道へ進もうと考えるようになっていきます。
私の在学中はちょうどコロナ禍で、思うように実習に参加できなかったのですが、5〜6年次になって、やっとNOSAI千葉、NOSAI北海道でいずれも2日間の実習を経験して、現場の先生方のかっこよさに憧れて、NOSAI千葉を志望しました。
毎日いろいろなことが
起こるからこそ面白い
産業動物診療獣医師の仕事は、動物が相手なので、とにかく毎日いろいろなことが起こります。おかげで仕事に飽きることはまったくありません。緊急事態で走り回ることも多いですが、診療所の先輩や同僚と一緒に力を合わせて、頑張っています。まだまだ仕事を始めたばかりなので、日々成長を感じることができています。
NOSAIの診療車にはさまざまな医薬品や診療器具が積んである
獣医師の仕事は、犬・猫などペットのお医者さんというイメージが強いと思います。ただ、その先には、安全・安心な国産の牛肉や牛乳生産に欠かせない乳牛や肉牛を診療して、畜産業を支えるという興味深い仕事があることもぜひ知ってほしいと思います。私自身も高校時代は、産業動物診療獣医師の仕事内容をほとんど知りませんでした。
病気で苦しんでいる目の前の牛を自分の手で治療し、助けられるという手応えは、獣医師にしか味わえないものだと思います。勉強が少し苦手でも興味があるなら、ぜひ獣医師の門を叩いてください。獣医学部に入学してから、幅広い職域を知り、自分に合う道を選んでほしいと思います。
牛にワクチンやビタミン剤を接種するのも獣医師の重要な仕事
千葉県農業共済組合
北部家畜診療所 技師
1997年、アメリカ合衆国
カルフォルニア州生まれ
麻布大学獣医学部獣医学科
2023年3月卒業
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先輩インタビュー
獣医学系学部・学科を卒業し、産業動物獣医師や農林水産系公務員獣医師として働く先輩たちは、どのような仕事をしているのでしょう? 具体的な業務内容や1日のスケジュールを取材しました!